主体的学び研究所

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BYUで開発したE塾はディープラーニングで英語脳を鍛える

米国BYU渡部正和博士が開発したE塾に参加している。エレノア・ジョーデン先生(言語学)から学んだ言語習得法を基にして日本人向けに開発したものである。真正な英語習得法である。

第一に学習者中心の学びである。自分の能力を引き出す学びであり、自分で学んでいける能力をつけることにある。英語の3要素はモチベーション、正確さ、流暢さであるがこの3つは関係性があって、そのバランスを維持しながら成長しなければ上達しない。E塾の最終目標はネイティブに違和感のない英語である。教師は生徒の能力を引き出すために辛抱強く待つ。決して正解を言わない。(つまり正解はない)

第二にクリティカルシンキング、デープラーニング、クリエイティブラーニングの授業である。授業は終始質疑応答で進む。教師の質問が授業をつくる。さらには生徒の質問が授業を展開させる。教材が多様である。小説、評論、社説、TED Talk、政治スピーチ、映画、音楽、経済学、社会学、哲学、科学など社会に通じる分野でテーマを持つ授業である。対象のテーマに関して生徒のinsight(洞察)を執拗に求める。頭が疲れるぐらい。「あー、わかった、わかった、成る程そうか」「いや、なにかまだ疑問だ、もう少し考えよう」ということの繰り返しである。

第三に文脈で学ぶことの重要性である。単語や文法を意識しては英語は上達しない。単語や文章の一つひとつに意識があるとネイティブのスピードに追いつかないためにネイティブに違和感を与えてしまう。forward looking wayと言い、相手の話や文章の先を予測していくことができるようにならないとスピードは追いつかない。これは英語脳をつくるという作業でもある。

第四にユーモアやアレゴリーなど日本人に弱い思考が鍛えられる。即興で瞬時に自分の考えが表現できることは欧米文化には必須のことで日本人は慣れていない。比喩、類推、仮定、比較、ユーモアなどの表現も文脈で覚えていく。

第五にシーンに応じて話すこと(すなわち聴くこと)の戦略を覚える。例えば、議論というシーンではpostulation, hypothesize, extrapolate, speculationを覚える必要がある。

渡部博士のE塾は、「英語習得のパラダイムシフト」である。今までの英語を覚えるという学びでは考えたことのない枠外へ出て問題解決を図る挑戦である。コペルニクスの天動説である。渡部博士は言う。「明治時代の日本人英語1世はアムハースト大学にその事実があるのだが英語のうまい民族であった」にもかかわらず何故今英語が下手な民族と言われるのかを考えてみた。いつの間にか、日本人の、日本人による、日本人のための英語になっていたことに思い至る。(続く)

 

研究員
花岡隆一

クリーブランド管弦楽団とベートーヴェン、ICEモデル

フランツ・ウェルザー=メストが音楽監督をしているクリーブランド管弦楽団によるベートーヴェン交響曲と序曲の「プロメテウスプロジェクト」と銘打ったシリースが行われた。ベートーヴェンが熟知していたプロメテウスをメタファーとして、ベートーヴェンの交響曲や序曲を考えるという挑戦である。コリオランと8番、5番を聴いた。これだけで何かを言うことは難しいが、クリーブランドのベートーヴェンは気持ちを豊かにしてくれたことは間違いない。フランツ・ウェルザー=メストはベートーヴェンは、自身の政治的、哲学的な信念を音楽を通じて表明したものと考える。それは正義、自由、個人の価値などを思い起こすものであった。ICEで考えるとベートーヴェンが求めた究極の問い(Extensions)である。「人はどう生きるのか」逆境の中でも人は常に最善の行動を追求する。そうでなくてはならないと考え、ベートーヴェンはもっている才能の音楽によってそれを伝えたいと考えた。1番から9番がどうConnectionsしているのかは専門家に任せたい。ウェルザー=メストは「プロメテウスプロジェクト」でベートーヴェンの音楽について問いている。とても興味深いコンサートであった。

 

研究員
花岡隆一

ネィティブに違和感のない英語習得方法-米BYU渡部先生へのインタビュー

BYU渡部正和先生が開発した”Three Steps Way”というネィティブに違和感のない英語習得法に関しては本ブログでも何度か取り上げている。この度、渡部先生をお招きして、顧問のゲーリー先生にその中身について詳しくインタビューをして頂いた。

日本人が英語習得に壁があるのは国民性(奥ゆかしい、思慮深いことが美徳)にあるというステレオタイプの理由でなく、文字文化中心・能力主義認定制度が言語の秀でた人の言語習得能力を活かすようになっていないという指摘が新鮮です。さらに、英語習得は、「ことばの意味」「文法」の学びに偏っていて一番大切な要素である「文脈」での理解を英語教育では全くと言っていいほど無視してきた。この「文脈」で考えるということが”Three Steps Way”の本質である。

米国渡航一世の英語はとても優れていたという証拠がアムハースト大学のアーカイビングに保存されている。日本人は決して英語習得が不得手な国民ではないのである。英語脳ができないような教育をしていることに原因がある。英語を英語として理解しなければ、ネィティブにはいつまでも違和感が残る英語しか使うことはできない。いくら早く英語教育を始めてもパラダイムシフトをしなければ結果は変わらない。

渡部先生は日本で「みくに国際学園」という学校を設立して、BYU方式の英語習得法の普及に励んでいる。生徒の中心は海外での教育を目指す高校生であり、受験英語の学びでないにもかかわらず英語検定等の成績は極めて高い。

 

 

研究員
花岡隆一

「チームワーク」に関する学び

帝京大学で面白いセミナーを開催した。「チームワーク」に関する授業参観とセミナーをセットにしたものである。ひとつは、讀賣新聞の松本美奈氏による「(相手、対象に)なりきって(コミュニケートする)」という教養課程の授業である。松本美奈先生の授業はジャーナリストであるだけに、学びに「時間」の使い方を導入する。大体1~3分で区切り学生に活動させる。緊張感と集中力は自然と高まる。記事をコンセプトマップに描く予習を経て、チームワーク学習では話し手と聞き手の立場になりきってコミュニケーション力を磨く学習である。これができるようになるまでにはいくつもの要素をクリアーしていかなければならない。学生の成長が楽しみな授業である。

広島祇園北高校の柞磨(たるま)昭孝先生は、「学習」には他者性 (otherness)が存在すると言う。”No man is an Island entire of itself;”というJhon Danneの有名な詩があります。他者、社会に貢献しているという意識が学びになければモチベーションは継続しないということでもあります。

もうひとつはカナダのクィーンズ大学のAndy博士による「チームワークの進め方と評価について」と題したセミナー&ワークショップです。彼が仲間と開発した「チームQ」というツールを活用しながらチームワークの評価について考えました。企業や社会での仕事のやり方に関してチームワークは必須のこととして実践されているが、大学ではチームワークの理論的・実践的学びということはあまりやっていない。改めて大学の学びとしてチームワークを考えるということがAndy博士の狙いである。またチームワークはアクティブラーニングを促進するために必須の活動でもあります。「チームQ」も学生が中心になって作り上げたものです。素晴らしい!

 

研究員

花岡隆一

 

「質的データ分析ワークショプ」からの学び

看護教育者の育成に注力される星直子先生からご案内頂き、水野節夫先生の質的データ分析ワークショップに参加した。

「質的データ分析」というと、グラウンデッド・セオリー(Grounded Theory)を思い起こす人が多いと思う。看護学において定着している。水野節夫先生は第一人者であり、CM法(事例媒介的アプローチ︙Case Mediated)を開発されている。

データ分析には多様な手法があるが、水野先生の言う本質的なこととは、データに直面したときの態度である。つまり分析者の意志や意図の前に「データにきちんと向き合っているかどうか」ということである。

CM法の戦略として3つ紹介頂いた。<アイデアの風船飛ばし><なぞり><簡易整理法>である。素材に直面して、この戦略に沿って考えていくと基本的な流れができあがる。とても有効な戦略である。

 

 

花岡隆一
研究員