主体的学び研究所は、2012年文科省「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」のアクティブラーニングの実践、2017年「主体的・対話的深い学び」への促進の中で、さらには高等教育のDXの目的である「学修者中心の学び」の実現のためのICT(主として動画テキスト)の学習効果に関する実践調査研究を続けている。2022年のEdixはニューノーマル時代へのDXの実現に関する大学の取り組みに注目が集まっているが、その中でデジタルを導入した授業における学修者の学びの状況に関しての調査研究の一部をご紹介する。
調査研究内容は次のとおりである。
• デジタル化の意味と授業データの解釈
• 学習者は授業にどう臨んでいるのか
• Mediasite学習をどのように使っているか
• Mediasite分析から学習状況を類推できることは何か
• Mediasite学習分析から学習支援とFD(授業設計)支援
• Mediasite EdTech新製品
• 未来への展望
デジタル化を進めることの意味はシンプルである。
for more students to access videos 学修者はICTが存在すれば、それぞれの仕方で見事に活用する
for us to record the access log of each student 学修者が使えばデータが残り活用できる
for most students to take an effect using videos ICT(video)の活用は学習成果と相関関係がある
学修者がどのように授業を受けているかも予想している通りの結果であった。
メタ学習者は授業の学び方を承知しており、授業に集中していることからトータルとして効率的な時間の使い方ができているが、時間をかけて予習復習しても留年する生徒は1授業での集中力の欠如 2基礎知識の欠如などが主たる原因と想定される、即ち学び方がわからない。良い成績を得る生徒は授業の重要な話やデータを見返しているが、留年する生徒はフォーカスすべきものがまちまちである。授業評価や学生アンケートとビデオ学習との相関も明らかである。視聴の高い授業は授業評価でも高い。これは明確なエビデンスとなる。図形やグラフの多い授業は時間内での把握が難しいということも授業評価からわかった。授業の復習のタイミンングの分析では1週間以内に見返す学生は、効率良く 時間をかけないで習得しているが、時間を空けて復習する場合は授業まるごとの復習をしている。短時間の予習学修でも授業での集中力=理解力は高まる。復習テストについ ても授業の把握を簡単にできることからvideo学習は効果的であることも実証できた。
主体的学び研究所は、大学教員とも提携して学習効果を上げるためのLA(Learning Analytics) の実践とフィードバックについて、新しいEdTecも開発することができた。学習データは膨大であり、意味あるデータを抽出して解釈することが難しいが、膨大なデータから汎用的な傾向を掴むためのアルゴリズムを開発した。(patent申請)
ニューノーマル時代での学習は対面/リモート環境に対応することが必須であり教育の質が問われるが、ミネルヴァ大学のようにリモートだけで多様な教育を実践し高い評価を得ているところがある。ICTの未来へ向けた開発はまだスタートに過ぎない。Science for SocietyからSociety for Scienceの時代へパラダイム変換している今日、教育の本質にフォーカスしたICTの開発や利活用を考えていきたいと思う。
主体的学び研究所 研究員 花岡隆一
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