主体的学び研究所

P.F.ドラッカーを紹介した坂本和一先生との面談:立命館大学での実践

P.F.ドラッカーを紹介した坂本和一先生との面談:立命館大学での実践

主体的学び研究所は、坂本和一先生(立命館大学名誉教授、立命館アジア太平洋大学(APU)初代学長)にお会いした。坂本先生は、ドラッカー研究者、実践家として、「マネッジメントの発明」にだけ注目されるドラッカーの真髄を研究されている。最後のドラッカー研究書を、今執筆中とのことで、楽しみである。いずれ研究所でもご紹介したいと思います。

ドラッカーは取り分け日本において、経営者の学びとしてバイブル的な存在であるが、坂本先生には立命館大学において、公的機関でのイノベーションの実践を果たした成果についてお話し頂いた。(詳しくは「大学の発想転換−体験的イノベーション論二十五年」 東信堂出版 参照ください)

大学は公的サービスの代表である。公的サービスのイノベーションの難しさは収益目標がない。代わる目標が必要。目標を見つけるには、大学のステークホルダーやお客様のニーズの洗い出しが必須であると。そもそもイノベーション=新しい事業をやるだけではなく、日常の活動の中で、予期せぬ事件(成功も失敗も)に気づき、他と差別化することである。(ドラッカーの言葉では、新結合といいます)

立命館は、坂本先生の下、4つのイノベーションを実践しました。

①   事業構造を変える:大学への新しいニーズを徹底的に洗い直す。文系と理系の融合/文化とスポーツを教学とは別の柱とする/文系の産学連携を全ての文系で実施(旧来は理系の産学連携が主)=日本初のリエゾン/学生中心のエンパワーメント(主体的学び研究所のテーマでもあります)/職員と教員の結束/自立的な大学管理体制

②   組織のイノベーション:根についた理念を考えて、全員が共有する/大学職員、教員の一人ひとりがイノベーティブになる。猛烈に勉強する/保守的な経営の排除/異分子を認める文化

③   財務、効率:財務は極めて脆弱。むしろ安心しないで挑戦できた。寄付に期待しない構造つくり/企業と同じレベルの効率化:例 報告書は1枚限り、会議はやらないなど

④   パートナーとの付合い:大学は既存のベンダーや既存の寄付団体などと癒着するが、そうしたことを極力避けて、新しい提案を常に求める

坂本和一先生のお話には、中教審が求める大学ガバナンス改革にとっても多くの省察があります。

研究員 花岡隆一

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