主体的学び研究所

08月

『反転授業』と『反転学習』

Flipped Classroom/Learningを反転授業と訳しているが、反転学習は別であるという解釈がある。反転授業はあくまでも授業=教室をどう改善するかという授業法のひとつであり、反転学習は例えばMOOCsのような高いレベルでの自学自修を可能とする学生を対象にしたものを言う。

この秋に出版予定の『主体的学び』ジャーナルの特集は「反転授業ですべては解決するか」という興味ある論文集です。実際の教育現場で実践されている『反転授業』や『反転学習』の調査研究を期待ください。その中で、改めて協調学習での主体的学びの在り方についても問題が提起されている。

反転授業はアクティブ•ラーニングを促進するためのひとつの授業方法として実践されているが、目的が明確でない安易な反転授業はむしろマイナスになるという指摘を考えたい。

研究員 花岡隆一

企業トップのアクティブラーニングの実践

800社のexecutiveにコーチングをしている会社がコーチエイである。ビルゲイツもエリックシュミットもカルロスゴーンも皆コーチがいる。企業の収益の40%はトップの責任というのが欧米では当たり前になっている。トップ自らがアクティブラーニングを実践してこそ企業の成長が保証されるのである。

トップのアクティブラーニングの内容は明確である。組織内での関係性の向上:トップであれば経営幹部一人ひとりと1.5時間/週以上会話しているか。組織内でのコミュニケーションの実践や組織を越えるコミュニケーションの実践。即ちお客様訪問を誰よりも多く実践しているか。これを経験的にマスターしていくのが企業トップのアクティブラーニングであるという。

以下、明確なビジョンの発信、他人の話を聞く、自分の力量の限界認識、新しいものへの挑戦心となる。コーチングの役割は、executiveたちが忘れてしまうこれらの省察を促すことである。
コーチエイの伊藤守代表は、いい会社は何も意識しなくてもみんなが自由に発言している状態を常に維持しているという。

研究員 花岡隆一

ブリガムヤング大学(BYU)の語学学習に思う

この程、BYUの語学研修の現場を見学した知人よりその極意は、どこの言葉を習得するにもまずその言葉で記述されている名文を諳誦することから始めると聞く。

日本だけが学校教育で書き言葉を生きたものとして身につける鍛錬をやらない。文章は第三者、複数の人を意識して書くが、欧米人は会話においても書くように話しているという。会話の表現がユーモアや笑いを自然に取り込めるのは目の前の相手との関係だけでなく、第三者をいれる余裕をもっているからで、それが書くように話すということである。

漢字は名詞中心の思考であり、「どのように考える」「どう考える」というプロセスを考えることが不得手であるため深い考えができにくい。同じ漢字文化の中国では、漢字の組合せにより(配置)、様々な動きが出来て、多様な表現ができるという。唐詩などを読むと良く解るそうだ。(知人の中国人から)カナダで実践されているICEでは動詞を上手く使うことでプロセスの思考をもたらす。

外国語を生きた言葉として学ぶのは書き言葉を諳誦することというBYUの方法は裏付けがあると感じた。

 

 

研究員 花岡隆一