主体的学び研究所

07月

「反転授業」様々

「反転授業」ばやりである。「主体的学び」次号は「反転授業」について様々な視点で考えてみたいという企画を考えている。先日のICEDでは、「反転授業は全てか?」という問いかけもでた。実践的な検証、教育工学的な検証などが国内外で行われている。武雄市のスマイル学習(反転授業)などを含めてこうした取組みをご紹介できればと考えている。

土持ゲーリー法一先生の考えは:
アクティブ•ラーニング(主体的学び)は、習っていないことを考える力と言うこともできる。不可能を可能にするという言い方もできる。反転授業はそのきっかけである。上手に反転すると学生に火がつく可能性がある。そうなると、ついた火を燃やしてあげなければならない。だから対面授業がとても重要になる。ところが不完全燃焼で終わってしまう授業が多い。反転すれば学生が主体的に学ぶという幻想は捨てなければいけない。

「主体的学び」次号は10月に刊行予定です。

研究員 花岡隆一

「こども大学」の取組み

こどもたちの夢の選択肢を増やしたい、そのために、自分たちの夢へとつながる学問を、企業や大学の先端的研究にも触れながら提供していきたい、という思いの人が集まりました。この取組みを「こども大学」(任意団体)として開催しています。カリキュラムは、企業や大学のCSRやアウトリーチ活動として構成されます。分野は、医療、環境、エネルギー、宇宙、地球、IT、情報、芸術、音楽など様々で、それぞれが学部として開講されます。(新産業文化創出研究所)

これまで、古代食、エコカー、メタンハイドレード、古代氷、南極料理、国際惑星地球年、世界天文day、宇宙食、キャラ弁当、ジオ鉄などのクラスに多くのこどもたちが参加してきました。

昨今、教育CSRはCSV(Creating Shared Value)と一体化しているという考えがあります。コーポレートマーケッティングは地域、社会、市民との連携なくしてはありえません。こどもたちとの共通言語つくりは「次世代学」として必須です。こどもを通じて未来が見えてきます。学校教育と社会とのつながりの問題は教育の永年の課題です。こどもたちが専門分野に出会ったとき突然ミスマッチングに気がつくことがないように、オープンキャリキュラムを小さいときから触れていることはとても大切です。

8月9日(土) 10:00開講(無料)秋葉原UDX4F
こども大学医学部サマースクール
主催:AKIBA Cancer Forum 2014 実行委員会

研究員 花岡隆一

栗田泰幸氏が語るこどもたちの夢

栗田泰幸氏は、クラッシック音楽業界では熱いプロデューサーです。指揮者として世界の頂点にいる小澤征爾氏と一緒にサイトウ•キネンを長い間、育ててきました。そして今、世界的なピアニストの小山実維恵さんと音楽等を通じてこどもたちの夢実現にむけて活動をしています。お話をお聞きして、こどもたちが主体的に学べる環境つくりと共通していると感じました。栗田さんは、こどもの創造力や感性をとても大切にしています。辛抱強く信頼関係を築くことから始めています。

主体的学び研究所も次世代のこどもたちに何を伝えるかを考えています。「こども大学」への参画も検討しています。産業界では最近教育のCSRが重視されていますが、まだ普及していません。CSVとCSRが同じ視点から考えられるようになりつつはあります。「こども大学」は廣常啓一さんの活動ですが、多くの人に支えられています。

それぞれの分野で実績をあげてきた人が必ず社会に還元したいと考えるのが、こどもたちとの繋がりです。南研子さん、川村忠晴さん、伊藤ふさみさん、山口みちよさん、辰巳芳子さん、加藤登紀子さん−−−−。懐かしい香りがします。こうした様々な活動がどこかで交わってくれることを楽しみにしています。

研究員 花岡隆一

改めて思う学びの原点としての「ICEモデル」

高校生の入学準備教育の受講者によるポートフォリオで、高校と大学の違いについての様々な気づきや4年間の学びへの期待を述べている。ここでは反転授業を実施したが、特に生徒同士での学び合い(協調学習)を初めて経験した受講者から、大学での学びへの思いが伝わる。

ジョン•デューイによると、協調学習がない授業は子どもたちにとって大人以上に退屈である。子どもが自然と協調して体験的学習をすることに教育の原点があり、これは高次な教育でも経験哲学として裏付けられる。学校という枠での授業設計や教材の押しつけは精神と肉体を分離させてやがて学びから離れていく。

現在の教育に照らして考えると、協同する力(荒瀬元校長の言う見えない力)=チームで考え行動する力を育てるのが教育の原点である。子どもの内在的な発達の可能性を信じることが教員の原点にあり、そのために教育は現場で苦労する。(生徒の経験を始点として又帰着点として教育実践をしていく)知識の習得だけではなく、知の総合化が行われる環境が提供される。(経験は過去に拡大されて行く程度にしか未来に拡大はしていかない:デューイ)

今私たちが研究しているカナダのICEモデルは、このことを実践するポータブルな仕掛けである。子どもたちが自然との共生や対立の中で体験しつつ知識を得て総合化していくプロセスがまずICEモデルである。大学の中でも、社会に出ても、ICEモデルのプロセスは実践されていく。成長しつづけるIにしていくことが大切であると考えている。

研究員 花岡隆一

京都市立堀川高校のアクティブラーニングの実践

荒瀬先生の教育改革の実践には感動しました。大学が皆悩んでいることをずっと前からやっている。どういう人間を育てるか? そのために必要なものは何か? それはプロセスを学ぶことではないか? それを生徒に実践してもらうためには教員の沢山のチップス(仕掛け)が必要だから教員も学ぶ。プロセスを学ぶと見えないものが育つ。見えないものが育つと、結果として見える偏差値もあがる。これらのことを実践するための授業設計は、指定図書の事前購読(反転授業の予習)を前提とするグループ学習(協調学習)です。荒瀬先生のことば「生徒は自分がやりたいものが見えると、達成へのモチベーションが上がり、勉強を主体的にやる」8月8日に荒瀬先生の話を聞くことを楽しみにしている。

研究員 花岡隆一