主体的学び研究所

設立の趣旨

 主体的に学び、考え、行動する人材はどうすれば育成できるのだろうか。これが、私達が向き合っている課題です。ボランティアを義務付けることができないように、主体的に学ぶことを強制することはできないでしょう。その一方で、主体的に学ぶ人材ほどより多くのことを理解し、人生を柔軟に切り拓いているという事実を私達は体験的に知っています。またそうした主体性を育む環境や出会い、きっかけがさまざまな場所に存在するということも、多くの方が感じている通りです。

 文部科学省が2012年6月に発表した「大学改革実行プラン」では、主体的な学びをできる環境づくりに大学が組織的に取り組むことを、大学改革の重要な目標に掲げています。また、語学を含むコミュニケーション能力の向上、新しい価値を生み出すことができるイノベーション人材の育成や、他国の人々と対等に渉り合うことができるグローバル人材の育成など、低下しつつある国力を再び浮かび上がらせるための戦略も示しています。企業や教育機関をはじめ、ここで描かれているビジョンに共感する方は多いでしょう。私達が人材育成についてもっている問題意識も同じです。

 これらすべては「主体的に学ぶことができる人材」が育つか否かにかかっていると、私達は考えます。これまで私達の社会の人材育成に欠けていたのは、「主体的な学び」をどのように創り、実践するかという視点だったのではないでしょうか。この観点で考えていくと、いま国や地域、教育機関や家庭が行えること、まず行わなければならないことは、何でしょうか。

 私達は上記のような問題意識に基づき、『人々が主体的に学ぶための環境や仕組みなどの条件が、どのようなものであるか』を研究するため、ここに主体的学び研究所を設立いたします。さまざまな現場の教育関係者と「主体的な学び」を創出し、さまざまな現場で実践し、その成果を広く社会に発信していくことがこの研究所の目的です。教育者達の工夫や悩み、学生の声などの活きた情報から、社会にとって有用な知見を探し、それを社会に広く還元することを目指します。教育関係者によらず、教育や学びに関心のある方々との協働を、私達は広く展開してまいります。