主体的学び研究所

船守美穂先生の講演からーデジタル化時代の学びの社会性を考えるー

船守美穂先生の講演からーデジタル化時代の学びの社会性を考えるー

今、「アクティブ•ラーニングを促進するICTの利活用に関する勉強会」を続けている。今回は、東大の船守先生が、「主体的学びと学びの社会性」という切り口で、cMOOCからMOOCそしてオンライン教育の次の展開、コンピテンシー•ベースド教育とパーソナライズド/アダプティブ教育の流れについて米国の動向と日本の向かうべき課題について講演して頂いた。

米国でMOOCが騒がれていたのが2012年、2年遅れて日本にやってきたが本家では既に沈静化している。元々xMOOCは、元祖MOOCのcMOOC(Connectivist MOOC「デジタル時代の学習理論」)とは全く考え方が別のものであった、というようなことは恥ずかしくも知りませんでした。xMOOCが期待を裏切ったとは言え、何でもやってみようの米国ですからオンライン教育に新たな投げかけをもたらしたことは事実です。そこでMOOC3.0の時代に入ってきたというご指摘です。そもそもオンラインだけで教育ができる訳はありません。デジタル化は受け入れつつも、人と人が繋がる教育にICTの活用される方法はしっかり考えていかなければICTを使える教育設計をしているというような本末転倒になってしまいます。

船守先生のもうひとつの示唆は、日本の高等教育はいつも「遅れてきた青年」でよいのかという視点かと思いました。大学教育までがMOOCや反転授業というトレンドで右往左往しているのは止めましょうと。米国と日本のバックグランドも違いますし。その中身を見て行くと従来から試行錯誤している授業内容やコース設計を組み合わせて特徴づけているのであり、全く新規なものではないという冷静な考えが必要である。日本がJ-MOOCをやるのは否定はしないが、別の考え方もあるのではないかと思いました。東大でMOOCをやった藤原帰一先生も学生に気づかせるのはオンラインではなく教師であると言われているそうです。

船守先生のメッセージは、W.E.B.Du Boisの「教育の役割は、人を医師、弁護士、技師にすることではない。教育の役割は、医師、弁護士、技師を人にすることである。」

 

研究員 花岡隆一

 

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