主体的学び研究所

なぜアクティブラーニングか?

なぜアクティブラーニングか?

溝上慎一先生が近々東信堂からアクティブラーニングの総集編を出すと聞いたので少し前の著作を読む。フィンク先生の意義ある学習経験やボンウェルとアイソン先生のアクティブラーニング、チッカリングの教育とアイデンティティ等を引用しながら、米国で1980年頃より、日本では2000年頃よりアクティブラーニングが起こってきた背景が明示される。

主体的学び研究所を設立したときは2012年中教審の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」が出たときである。答申ではアクティブラーニングのポイントとして「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用能力の育成を図ることにつながるもの」と記述されている。そこで研究所を主体的学び(アクティブラーニング)について、特に教育現場で起こっていることを調べることを目的として設立した経緯がある。

それだけに溝上先生の「なぜアクティブラーニングか」は抑えておく必要があると思う。米国でコミュニィティカレッジと大学でそれぞれ教育と研究を分けて担当していたことから大学の研究重視への偏りが生じたことへの反省から改めて教育重視に戻ってきた中で、大学の大衆化、学生の多様化が起こってきたことに起因している。日本でも1970年代からの大学の大衆化の中で聴くだけの講義で主体的になれない学習者が増えてきた。受験のための受身型学習が背景にもある。それに対して教師も工夫が必要となってくる。

溝上先生のアクティブラーニングの定義は「認知プロセスの外化」というキーワードが重要である。聴くこともアクティブラーニングの要素であるが、それに書く•話す•発表するという能動的活動があって、この活動に関連する認知プロセスが外化されてアクティブラーニングとなる。

この秋にもシリーズでアクティブラーニングが発行されるがとてもタイムリーな企画であり楽しみである。

 

 

研究員  花岡隆一

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