主体的学び研究所

人材開発世界大会(ATD2015-ICE)におけるengagement

人材開発世界大会(ATD2015-ICE)におけるengagement

今年のATD(Association for Talent Development:フロリダ)には世界から1万人の来場があり、14のテーマで300のセッションを開催した。その中で、Learning Technology, Instructional Design, The Science of Learning, Learning Analyticsに関したものが多かった。ATDは今年で71年目、毎年この大会で話題になるセッションや言葉がその時代の潮流を表している。世界の働き手の中心はMillenial (Y)世代であり、またDigital 世代である。

彼らがどういう教育環境を経て、どういう社会を構築していくのかをATDの歴史を鳥瞰すると面白い。5年前はダニエル•ピンクの内発的なパッション(経済的なものより心に熱いものを求める)、マーカス•バッキンガムのエッジを伸ばす(得意なことをやれ)、あるいはブルーエンジェルスのdebrief(仲間を信頼せよ、振り返れ)、そしてジョン•コリンスの謙虚と不屈。2013−4年になると自分の力だけでなく周りを育てること、組織は皆で創造する、さらには変化に適合できるチームづくり(アリアナ•ハフィントン)や遊びが文化や生産性を変える(ケビン•キャロル)そして今日は「混沌から共に学び、貢献するとき、殻を破り創造力を高める時代」(間宮隆彦氏)

さらにLearning Technologyという視点で見た社会の傾向は「モバイル」と「ソーシャルテクノロジー」の時代である。モバイルラーニング(eラーニングとは言わない)は企業でも大学でも主流になりつつある。5−7分の短いコンテンツを現場(囲まれた教育の場所でなく)で、どこでも学ぶというスタイルが定着してきた。今までの1:1の学びから1:nの学び(協同学習)が効果的であると認識される。仲間で学ぶというのはY世代の特長でもある。1:nの学びはメンタリングの在り方も変える。大学でも協同学習=アクティブ•ラーニングをできる教師の資質やトレイニングが課題となっている。モバイルへの移行は必然的にvirtual(on-line)の世界になっていくため、学習者のengagementが重要になる。つまり学習エコシステムの課題である。学習環境がここまで変化したことへ学習プロセスや評価がまだ追いついていない。

 

 

研究員 花岡隆一

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