主体的学び研究所

02月

MOOCの拡大:教育の変容を促す大きな流れ -日本学術会議シンポジウム-

日本学術会議情報学委員会のシンポジウムに出席したのでそのトピックスを報告する。文科省研究振興局下間参事官のプレゼンに続いてのパネル討論は面白かった。「MOOCによる教育改革とそれを支える学術情報基盤の高度化」というテーマで5名のパネリストが登場した。それぞれのパネリストの中で注目する内容が提示されたので概要を記述する。

美濃導彦先生(京都大学)はedxへの参加で、突然MOOCをやるといっても、誰が/どのように/どうやるのか/評価方法は/学生への質問回答の方法はなど現場立ち上げの視点からとても大変であることを披露された。例えば、誰がという視点だけでも授業デザイン、授業評価デザイン、コンテンツ企画等のインストラクチャーデザイン、メディアデザイン、ICT技術者など多くの機能別スタッフが必要であり、日本の大学では壁が高いという指摘であった。

船守美穂先生(東京大学)は、MOOCの誕生は米国で高等教育財政の逼迫に原因があり、州政府等が支援してきているが、その効果(単位取得者が少ないなど)で失望感が出ていると。その結果、OERとしての学びの楽しみとしての評価とオンライン教育そのものの広がりという方向で新たな展開が見える。その流れの中で、アダプティブ型学習とパーソナライズド学習の融和が起きてきたという指摘が面白い。さらに、MOOCが日本で騒がれるが、米国ではcMOOC(コネクティビティ)がずっと前からあって、教師もオンラインなどを様々な授業形態のひとつとして取り入れていた環境に慣れている中でのMOOCであることを理解しないと日本の大学で突然同じことをやっても難しいのではないか。対応できる教師も少ない。支援スタッフの大学における有機的連携が前提の米国と日本では文化が違い過ぎる等社会的問題もある。この二人の指摘はこれまでの単純なMOOC期待論や課題論とは別の視点であり、とても重要であると感じた。

喜連川優先生(国情研)がCINET5の早期実現、Education of ICT(ICTリテラシーそもそもの向上)を強調していたのが印象的であった。

 

研究員 花岡隆一

 

大学の地(知)の拠点(COC)について

文科省の生涯学習政策局は、生涯学習は地域社会の中で行われるものであり、学校という枠の中だけで考えるものではないとしている。生涯学習の関係分野は教育の情報化、社会教育の振興、家庭教育の支援、放送大学の充実、専修学校•各種学校の振興などとされています。昨今の高齢化社会の中で人々が学ぶ時間•機会が増えている一方で、学びの環境は欧米に比べて遅れています。そのため大学を含めた社会全体の生涯学習環境の整備が急がれるのですが、これはそもそもが社会の在り方に起因している問題であるため容易ではありません。

こうした中で大学や大学院という社会に近いところが、社会との接続(社会への貢献)を見直すために(高等教育機関本来の目的のひとつでもあるが)実施しているのがCOC(センターオブコミュニティ)活動です。昨年のCOC活動での特徴は、医療福祉介護に関することが圧倒していることです。その他では東北震災復旧活動、地元産業振興、農林水産育成、地域人材育成、地域センター•情報メディアセンターの活用、地域•環境エネルギー問題、防災、子育て支援、行政機関への参画、スポーツ文化振興などがあります。産官学の連携で学びの環境をつくり、人々参加することは地域振興というだけでなく、個人が主体的に学ぶ(社会活動に参加する)ための必須の活動であると考えます。東工大の桑子先生は、「コモンズ」と称して社会共有資産を皆で守ることを実践しています。

もうひとつの生涯学習の流れは、大学(大学院)の社会人入学率の向上への期待です。日本の社会人入学率は2%です。(欧米の平均は20%:25歳以上)中教審の議論でも、大学側と企業側の両方の課題を提示していますが、今の社会活動の仕組みが制約となっています。

こうした中で、ICTを使ったeラーニングの新たな展開やMOOCs等の活動が社会人の学びの機会を増やすことが期待されます。放送大学も新たな通信プラットフォームを検討していますのでオンライン教育の動向には注目していきたいと思います。さて、今年のCOCはどんなユニークな取組みが提案されるか楽しみです。

 

研究員  花岡隆一

 

映像による知覚と記憶について

このブログ欄で最近よくロックやルソーに触れますが、「エミール」の中に次のような論述があります。「理性の時期のまえには、子どもは観念でなく映像をうけとる。映像はそれを見る精神のうちに単独に存在することができる。」 これで気がついたことがあります。初等教育時代を振り返ると好きな授業の記憶は内容を覚えているのではなく、教師が黒板に書いた映像(記号)を覚えているということがあります。好きな授業(先生)というのがもうひとつのポイントで、必要に迫られた学び、即ち主体的な学びの状況が前提での話ですが。

学習塾では様々な映像活用をしていますが、ある大手学習塾ではppt(パワーポイント)を使いません。横長の黒板を使用します。理解するということは、論理的なプロセスを理解することであり、ひとつの絵柄では説明できないからです。絵柄の連続したものを視覚的にも知覚することで、より記憶になっていくと考えているからです。

主体的学び研究所のスポンサーであるメディアサイトは授業を映像化することで、「教育サービスのストック化」による付加価値を創出しています。とりわけ講義形式の授業を受けた後の学生の記憶をテストすると1回の講義が如何に記憶に残りにくいかがわかります。映像のまた別の活用の仕方です。来月発行予定の研究所雑誌には、「主体的学びに授業映像収録はどう役立つのか」というテーマで所長の小篠洋一が記述します。是非ご一読ください。

 

研究員 花岡隆一

ドラッカーから学ぶ「イノベーション」

立命館大学の坂本和一名誉教授の著書「ドラッカーの警鐘を越えて」より、「イノベーション」について、その極みを紹介したい。企業の目的は企業の中にはなく外にある。即ち、それは顧客の創造である。イノベーションは企業が成長、拡大、変化するためのエンジンである。イノベーションがない企業は必ず消滅する。イノベーションは組織全体や組織の個人が考えるものではなく、企業のトップのみが考えることができる既存事業とは全く別の視点での思考である。企業の継続に責任を持つトップの重みであるとも言える。

イノベーションの領域については、新しい財貨、生産方法、販路、原料、組織とシュンペータが定義したが、ドラッカーはそれを実現する方法として、予期せぬ失敗や成功、ギャップ、ニーズ、産業構造の変化、人口の変化、認識の変化、新しい知識創出と定義した。

ドラッカーは、企業コンサルタントとして、スローンのGM、ガースナーのIBM、ウェルチのGEの3人にアドバイスをしたが、誤解を顧みないで言えば、三者三様の結果となった。即ち、「経営は常に陳腐化する」というアドバイスに従って自ら成功モデルを捨てたIBMは継続発展したが、成功モデルに拘ったGMは消滅した。

 

研究員 花岡隆一

 

“Flip Your Classroom” by Jonathan Bergmann & Arron Sams

 

高等教育の学びの質転換で、フリップトクラスルームの授業法が話題になっています。米国で読まれている代表的な書籍を紹介します。著者の二人は高校の教師です。学生のアクティブ•ラーニングを促す授業方法の開拓に挑戦している中で開発したものです。二人の教師の実践の成果をまとめたものですが、特に重要なFlipped Mastery Classroomについて紹介します。下記がそのプロセスの概要です。

①教室授業前の準備学習のために、短い映像を作成する。この中で大切なことは、学生が自分の殻に閉じこもらないように教師と学生との双方向の交流を実現する仕掛け、即ち的確な質問をつくることである。教室授業になったときに、教師が学生に話すのではなく、学生と教師は友達のように会話できる素地をつくることである。この準備学習の意味は学生が自分の計画に従って学びの時間を使えることである。

②教室授業では学生が中心になる。(Student Engagement)学生同士が話合う。教え合う。グループまたはチームで考える。このプロセスもリフレクションのひとつである。教師はファシリテーターの役目に徹する。教室の配置もとても大切である。(最近は、アクティブ•ラーニング•ルームデザインで多様な実績が生まれている)

③大切なのはアセスメントの方法である。これはメンタリングでも同じ。実は、1980年代に、Mastery Learningが普及しなかった理由はアセスメントに苦労したためである。

ーFormative assessment: 学生の学びの段階に応じてアドバイスができる。深い学びの段階では学生に任せる。しっかりとアドバイスが必要な時を見逃さないこと。「何を学んだか?」「その証拠は?」

ーRight Formative assessment questions: 初心の教師に質問の仕方を覚えてもらうことが大切。これは学生と一緒に学び、遊ぶことの経験の蓄積も必要となる。

ー Summative assessment: 単なる数値評価以上のものを見つける。

その他に、映像の事前学習をどのようにチェックするか? 映像の事前学習の効果的な進め方? 事前学習が出来なかった学生への教室授業の方法?などの回答も用意している。

研究所で紹介しているICEルーブリックはまさにフリップトクラスルームの授業法でのアセスメントとして最適な方法のひとつであると考えています。

 

研究員 花岡隆一

 

 

Sue F.Young先生のICEアプローチの高等教育での実践:ルーブリックを越えるICE

昨年日本に初めて紹介したWilson先生とSue先生のICE approachは、当初は初等中等教育向けに実践したものであるが、現在はカナダでは大学向けにも普及してきています。Sue先生から高等教育での活用に関する報告を頂いたので、その経緯などをご紹介します。Sue先生の論文は改めて掲載予定です。

ICEアプローチを、ED(カナダではFDといわない:Educational Development)での研究テーマとして18人の先生と一緒に実践した結果、これまで使っていたアセスメント(評価)方法との大きな違いが確認できたことで、カナダでは大学での学びに活用されている。即ち、学士レベルではIとCがクリアになること、専門レベルではEが基準となっています。このEDチームでの実証研究の成果は、いずれジャーナルになってくると思います。

学生はシラバスをもらうと、最後のページにあるアセスメントの方法を見ます。つまり、アセスメントがカリキュラムを定義していると言ってもよいかもしれません。アセスメントが知識の蓄積を問うのでは、学生の主体的学びを実現することはできません。学生が自ら深い学びをして実質的な成長を遂げていることを評価する方法がICEです。即ち、思考のプロセスを評価することを考えました。

ルソー、デューイなど教育学の古典で共通して記述しているのは、幼児は生きるために主体的学びをしているということですが、ICEは子どもが成長していく過程を示しているようにも思います。ICEのもう一つの特長はポータブルであることです。私たちはICEアプローチは学校教育の枠に留めるのではなく、社会で広く活用していただきたいと願っています。

 

研究員 花岡隆一

 

主体的学び研究所 雑誌初刊号の予報 - ジョン・タグ先生の「教育のパラダイムシフト」

研究所の雑誌初刊号の編集が真っ最中である。予てより、「主体的学び」「アクティブ・ラーニング」について幅白い視点で考える雑誌を計画していたが、国内外の研究者からすばらしい論文を寄せて頂き、この程発行することが現実となってきました。これも一重に日頃から研究所の活動にご支援を頂いている方々のお陰と感謝をしています。

さて中身ですが、何と言っても話題は、ロバート・B・バー先生&ジョン・タグ先生の「教育から学習への転換 学士課程教育の新しいパラダイム」が初めて日本語訳で掲載されることです。昨年の大学教育学会(東北大)にて基調講演の予定者であった(都合で来日できませんでした)ジョン・タグ先生の「教育のパラダイムシフト」をご紹介できることです。研究所の対談シリーズ1で、元POD会長のフィンク先生が「Student Engagement」という学習者中心の学びへの転換を主張していますが、タグ先生は同じ文脈を教育のパラダイムシフトとしています。

また、研究所顧問の土持ゲーリー先生の「ICEルーブリック 批判的思考力を伸ばす新たな評価方法」は、昨年日本に初めて紹介したICEモデルをさらに進化させて、ルーブリックを超えるICEルーブリックの研究と提言を頂きました。ICEモデルはこの1年いくつもの大学で実験的に試行されています。(これらの成果については、別のご報告したいと思います)私たちは、ロック、ルソーが指摘している学びは主体的であり、それを現代に活用しやすいようにコンパクトにしたものがICEではないかと考えています。ICEルーブリックについての詳しい活用などは改めてセミナー等でも紹介していきたいと思います。

さらに素晴らしい論文を紹介できます。北陸先端科学技術大学院大学 長谷川 忍先生が雑誌のために書き下ろしてくれました「Webにおける主体的学びとリフレクション支援」はWebーbased Learning による主体的学びの課題と方法論をリフレクションという視点で研究したものです。今世界に旋風を巻き起こしているMOOCsなど新しい形のWBLなどで学びの本質を外さないで主体的に学ぶことについての教育工学的視点での研究です。

この他、フリップトクラスルーム(反転授業)など話題のテーマについても掲載されます。

どうぞご期待ください。

 

研究員 花岡隆一

P.F.ドラッカーを紹介した坂本和一先生との面談:立命館大学での実践

主体的学び研究所は、坂本和一先生(立命館大学名誉教授、立命館アジア太平洋大学(APU)初代学長)にお会いした。坂本先生は、ドラッカー研究者、実践家として、「マネッジメントの発明」にだけ注目されるドラッカーの真髄を研究されている。最後のドラッカー研究書を、今執筆中とのことで、楽しみである。いずれ研究所でもご紹介したいと思います。

ドラッカーは取り分け日本において、経営者の学びとしてバイブル的な存在であるが、坂本先生には立命館大学において、公的機関でのイノベーションの実践を果たした成果についてお話し頂いた。(詳しくは「大学の発想転換−体験的イノベーション論二十五年」 東信堂出版 参照ください)

大学は公的サービスの代表である。公的サービスのイノベーションの難しさは収益目標がない。代わる目標が必要。目標を見つけるには、大学のステークホルダーやお客様のニーズの洗い出しが必須であると。そもそもイノベーション=新しい事業をやるだけではなく、日常の活動の中で、予期せぬ事件(成功も失敗も)に気づき、他と差別化することである。(ドラッカーの言葉では、新結合といいます)

立命館は、坂本先生の下、4つのイノベーションを実践しました。

①   事業構造を変える:大学への新しいニーズを徹底的に洗い直す。文系と理系の融合/文化とスポーツを教学とは別の柱とする/文系の産学連携を全ての文系で実施(旧来は理系の産学連携が主)=日本初のリエゾン/学生中心のエンパワーメント(主体的学び研究所のテーマでもあります)/職員と教員の結束/自立的な大学管理体制

②   組織のイノベーション:根についた理念を考えて、全員が共有する/大学職員、教員の一人ひとりがイノベーティブになる。猛烈に勉強する/保守的な経営の排除/異分子を認める文化

③   財務、効率:財務は極めて脆弱。むしろ安心しないで挑戦できた。寄付に期待しない構造つくり/企業と同じレベルの効率化:例 報告書は1枚限り、会議はやらないなど

④   パートナーとの付合い:大学は既存のベンダーや既存の寄付団体などと癒着するが、そうしたことを極力避けて、新しい提案を常に求める

坂本和一先生のお話には、中教審が求める大学ガバナンス改革にとっても多くの省察があります。

研究員 花岡隆一

「アフリカ子ども学を語る会」(アフリカ教育研究)について

名古屋大学大学院の国際開発研究科で比較教育を研究されている山田肖子先生にお会いして、アフリカ研究を通じて、日本のことを多面的に研究されている話をお聞きする。とても感動的であった。山田先生ご自身が、国際協力に関わり地球レベルでの社会と自然の関わりを実践されている。

今回は、アフリカ教育研究フォーラムでの「アフリカ子ども学を語る会」の紹介で、アフリカを研究する様々な専門家との討議は面白い。「子どもの視点で、子どもを取り巻く社会の在り様を理解して、再構築していく」というのが出発点である。つまり、子どもの視点に立ち、子どもから学ぶというのが討議の軸である。ここから、学校とか公高教育という狭い枠ではなにも得られないこと、ピアジェの子どもの遊び、楽しみの中から人の成長がある、つまり主体的学びの原点にも触れながら、学校ではできなくても子ども社会ではリーダーになる子どもの姿や貧困でかわいそうであるという見方は間違いで、貧困であっても子どもにとっては楽しい生活であるという考えなどが披露される。

振り返って日本の子どもは人工的なものが満ち満ちている社会で、回りにあるものだけで生き生きとした生活ができるアフリカの子どもとの違いを指摘する。諦めやすい、我慢できないという性格や一人で生きて行ける潜在能力が退化していることを考える。

最後の討議は、そもそも人とは何なのか? 人は子どもを通してしか大人にならないのか? 子どもの定義とは? 何故アフリカを学ぶのかという自問自答と共に根源的な課題提起をして終わる、すばらしいフォーラムであった。山田先生はこのテーマに引き続き取組んでいきたいと言われる。研究所としても学校の中での主体的学びだけでなく、山田先生の掲げる社会における人としての主体的学び=アクティブ•ラーニングについても理解していく必要があると痛感した。

 

研究員 花岡隆一

 

 

英語留学と米国大学へのトランスファー

1月に訪米する。目的は、日本をはじめとした中高生の米国での英語留学の実情と米国大学への入学がどのような仕組みで行われているのかを、ELSという設立50年の歴史を持つ英語留学教育を訪問して視察することであった。ELSは現在では全世界に1700拠点(93カ国)に教育事業を展開しているベネッセコーポレーションの傘下にある。ELSは全米に60カ所の学校を保有しているが、50カ所は大学キャンパスの中に存在しているのが特長である。大学進学を目指す留学生にとってはとてもよい環境にある。ELSの仕組みは、全米にある1,300のカレッッジへの進学のシナリオがでてきていることである。国別の留学生では中東地域が増えて、韓国が減っている。中国やインドが上位であることは変わらない。日本はまだ少ない。

さて英語の授業であるが、101−112までの12段階で指導している。109まで到達するとカレッジへの入学資格が与えられる。驚いたのは、何とELSのクラスは全て「アクティブ•ラーニング」である。さらなるノウハウは多民族の生徒を纏めていく授業設計である。これはELSが誇る仕組みであろう。教師のFDレベルが高いのも、50年の蓄積であろう。サウジアラビア人とインド人、韓国人と台湾人、日本人とインドネシア人などが一緒に議論をしつつ学んでいる。教師は「答えを言わない」。全てが正しい回答である(学生の主張としては)と褒めつつ、英語の文化をアドバイスしていくスタイルである。

学生は大学の寮とホームステイの選択ができる。カリフォルニア州のDeAnza大学は全米でもトップクラスのカレッジであるが、この中にあるELSは、大学生との交流、地域コミュニティとの交流、ボランティア活動など社会生活にどっぷり浸かって、英語を学ぶことが目的でなくなっていく、この自然な環境こそが英語留学で大切であると思った。

研究員 花岡隆一